失語症学の発展に向けて

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失語症治療のアプローチ方法1 〜刺激法〜

失語症治療のアプローチ方法には様々なものがあります。その方法を簡単に説明していきたいと思います。

刺激法は、WepmanやSchuellらによって提唱され、失語症治療として幅広く用いられているアプローチ方法です。

 

治療原則として以下の6つがあります。

  1. 強力な感覚刺激を用いる(聴覚刺激だけでなく視覚も利用する)
  2. 適切な感覚刺激を与える(失語症者が知覚できるように語の親密度、刺激の長さ、刺激の大きさ、刺激の速さを調節する)
  3. 感覚刺激を反復して与える(1回提示して理解できない語も繰り返し提示すると理解できることもある)
  4. 刺激に対するなんらかの反応を引き出す(反応を得ることで与えた刺激が適切であったか確認できる)
  5. 反応は強制するのではなく引き出す(正反応が得られない場合、より多くの刺激を与える)
  6. 矯正するのではなく刺激を与える(適切な刺激が与えられれば、適切な反応が得られる)

 

刺激法の具体例

目標:リンゴを見て「リンゴ」と言えるようにする

1.「リンゴ」を含む絵カードを何枚か並べ、「リンゴ」と聴覚刺激を与えて該当するカードを指差してもらい復唱も促す(文字を用いても可)

2.これらの手続きを繰り返し、自ら「リンゴ」と言えるようになるまで続ける

3.「リンゴ」の絵を見せ「これはなんですか?」と名称を聞いたり、「赤くて丸い果物は何ですか?」という質問に答えてもらう