先日、ディサースリアの新しい訓練法であるMTPSSEの講習会を受講してきました。今年が第1回目の講習会で、来年以降も講習会を行うようです。今回参加した第1回の講習会では考案者の西尾先生が全て講義をしていただきました。
その中で、特に印象に残ったのが「舌は第三の手」という言葉です。発生学の視点で見ると舌以外の顔面(咀嚼筋・表情筋)は鰓弓由来ですが、舌は体節由来の構造物であり、体肢筋に近いものです。そのため、嚥下体操で行うような前後左右の一方方向の運動だけではなく、上肢と同じように多方向的なより運動が大切だと言われていました。
ディサースリアに限らず、舌を上肢と同様に扱う考え方は失語症の訓練においてもヒントになるのではないかと思います。例えば、
➀右利き者の失語症は大部分が左半球の損傷により生じるが、左利き者は右半球で失語症が生じる割合が右利き者よりも大きい。
②手話の理解は左脳優位という研究があり、手話失語症者の多くが左半球損傷により生じる。
③利き手矯正をすると吃音が出現しやすくなる。
など上肢と言語には密接な関係がありそうです。
ホムンクルス図を見てみると言葉を使用できるヒトは舌と上肢の体性感覚の割合が大きいのに対して、それ以外の動物は舌の体性感覚はほとんどありません。
失語症訓練の中にも全体構造法の身体リズム運動では上肢の運動を利用しており、CIATは上肢のリハビリであるCIセラピーを応用しています。失語症治療を考えていく上で上肢との関係性を考えていくことも大切だと感じました。