失語症学の発展に向けて

言語聴覚士に役立つ書籍や考え方を紹介していきます

2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

失語症治療のアプローチ方法11 〜認知言語治療(福島メソッド)〜

認知言語治療は、福島メソッド失語症の認知言語治療ーその方法と実践ー(著:福島和子)で紹介されているものです。 この方法は、認知機能の改善から言語機能の改善を図る治療法です。 脳は、以下の3つの階層的機構に分かれます。 脳幹:生命維持装置 基底…

失語症治療のアプローチ方法10 〜全体構造法(JIST)〜

全体構造法(以下JIST)は、新潟リハビリテーション大学教授の道関京子先生が考えられた治療法です。 言語聴覚士(以下ST)の養成過程ではあまり教えない方法で、働き始めてから本格的に知る方が多いのではないかと思います。 JISTについては教科書が数冊出…

失語症治療のアプローチ方法9 〜 speeded therapy (RISP) 〜

RISP(repeated increasingly speeded presentation)は、刺激絵を提示された後にできるだけ速く呼称するという訓練方法で、2016年8月に広島で開催された「認知神経心理学研究会」でLambon Ralph教授が紹介したものです。 RISPは日本ではほとんど知られいな…

失語症治療のアプローチ方法8 〜認知神経心理学的アプローチ〜

認知神経心理学的アプローチは、主に言語機能の修復や再編成を目指す治療法です。 本邦の失語症治療で現在最も利用されている訓練法の一つです。 認知神経心理学は、Marshallら(1966,1973)による読み書き患者に関する二本の論文が起源です。読み障害のある…

失語症治療のアプローチ方法7 〜CIAT〜

PACEに関連した訓練方法としてCIセラピーの理論を失語症に応用したCIAT(CI aphasia therapy)というものがあります。 CIセラピーは、健側の上肢の使用を制限して麻痺側上肢を強制的に使用させる作業療法士が用いる手技の一つです。 また、言語聴覚士(以下ST…

失語症治療のアプローチ方法6 〜PACE〜

PACE(promoting aphasics communicative effectiveness)訓練は、日常コミュニケーションに近い場面を設定し、自然なコミュニケーションに含まれる手段や条件を活用し、対話形式を重視するものとして開発されたものです。 PACE訓練の原則として以下の4つが…