失語症学の発展に向けて

言語聴覚士に役立つ書籍や考え方を紹介していきます

失語症治療のアプローチ方法11 〜認知言語治療(福島メソッド)〜

認知言語治療は、福島メソッド失語症の認知言語治療ーその方法と実践ー(著:福島和子)で紹介されているものです。

 

 この方法は、認知機能の改善から言語機能の改善を図る治療法です。

脳は、以下の3つの階層的機構に分かれます。

脳幹:生命維持装置

基底核:意識や意欲、情緒を司る

大脳皮質:高次神経機能(認知機能)を司る

 

さらに認知機能は以下のプロセスに沿って進んでいきます。もし、途中の認知機能を遂行できなければ、次の機能に進むことはできません。

知覚:脳の感覚野に刺激が入ってきたことを知る段階。知覚されて初めて高次神経機能が活性化する。

認知:同じ入力様式で入ってきた2つ以上の刺激が、同じかどうかを弁別する能力。

連合:それぞれの感覚野で認知された刺激は互いに関連付けて一つの概念を形成する。

記憶:入力した刺激を認知した後、貯蔵すること。また、連合させた概念を貯蔵すること。

認識;連合し貯蔵した概念の1つの属性から、他の属性、概念を構成する他の属性を照合できること。

想起:与えられた属性から、貯蔵してある概念を取り出すこと。

推理:既に連合された情報から新しい連合予測すること。

判断反応:入力された情報を連合、記憶、認識、推理などの処理を行ったのち、反応様式を選択、決定すること。

 

治療プログラムは大きく分けて4つの段階に分かれます。それぞれのプログラムは、認知機能のプロセスをもとに構成されています。

第1段階:単語レベル・・・絵を見て呼称する段階

第2段階:文レベル(動作絵)・・・動作絵を見て文を作る段階

第3レベル:文レベル(単語絵から文作成)・・・単語絵をヒントにして自分の知識や経験から文を作る段階

第4レベル:文章レベル(談話、テキスト)・・・4コマ漫画を使用。その漫画の意味を理解し、それを1コマ1文で表し、4つの文を接続詞で繋げて4コマ漫画の意味を言語化する段階

 

実際に治療に活かしたい方は本書を読んでいただくと具体的な方法が紹介されています。また、付録の絵カードも付いていてそれを使って治療が可能です。