失語症学の発展に向けて

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失語症治療のアプローチ方法2 〜遮断除去法〜

遮断除去法(deblocking method)は、Weiglによって提唱されたもので、ブロックされたものを解除するという考え方の治療法です。

言語機能が消失したのではなくアクセスの障害であり、刺激を用いて促通させるという点は刺激法と共通しています。

失語症者は、言語理解・呼称・復唱・音読・書字など、それぞれの言語モダリティで成績が異なることがよくあります。良好なモダリティで反応させた後はそれまで正答できなかった言語モダリティで正答することがあり、これを「ディブロッキング(遮断除去)現象」と言います。

 

遮断除去法は、良好なモダリティを前刺激として用いて、目標とする言語モダリティのブロックを取り去ろうというものです。

 

この方法の前提として以下の2つの条件があります。

1.前刺激となる言語モダリティはほとんど完全に能力が残存していること

2.前刺激とディブロックされる言語モダリティとの間にある程度の関連性があること

 

また、ディブロッキング法には「単一ディブロッキング法(単一遮断除去法)」と「連鎖ディブロッキング法(連続遮断除去法)」があります。

 

単一ディブロッキング法(音読が良好で呼称が困難な場合):

文字を音読させ、絵カードを提示し呼称させる。

 

連鎖ディブロッキング法(音読と模写が良好で呼称が困難な場合):

単語を模写させ音読をしてもらう。その後、呼称し書字へとつなげる。

 

単一ディブロッキング法は、効果の持続が短いですが、連鎖ディブロッキング法は、多種類の機能を複合的に参加するため、効果が長く続くとされています。