失語症学の発展に向けて

言語聴覚士に役立つ書籍や考え方を紹介していきます

失語症治療のアプローチ方法3 〜機能再編成法〜

Luriaによって提唱された訓練方法です。

刺激法では、障害された機能そのものに働くかけ抑制された機能を賦活させる方法ですが、機能再編成法は、障害された言語機能の直接の刺激では回復困難だと考え、保たれている機能を利用して迂回路を形成するというものです。

 

発語失行の訓練例

1.視覚刺激として鏡や構音器官の図などの外的補助手段を用いる

2.構音操作が容易で音節数が少ない単語をゆっくりと意識しながら言ってもらう

 

文の訓練(単語は言えるが、句や文の表出が困難な運動性失語例)

1.言語聴覚士が使用する文に含まれる単語の数を教える

2.主語や目的語が配列される位置を異なる図形(丸、四角など)で示した用紙を提示する

3.文を与えて、その図形に単語を書いて文を完成させる

外的手段は徐々に少なくしていき内在化させて、外的手段に頼らずに課題を行えるようにしていく。

 

仮名文字の訓練例

1.失語症者が想起しやすい単語(「あ」に対して「足」、「い」に対して「胃」)を決める

2.音とキーワードの対応を訓練し、仮名1文字の音読と書き取りへと導いていく

この方法は、音から直接字を想起する経路を使わずに、意味処理経路から迂回して語を想起するものです。