失語症学の発展に向けて

言語聴覚士に役立つ書籍や考え方を紹介していきます

手の行為と言語行為

言葉を発することができない人は手話を用いてコニュミケーションを取ることができる。しかし、手話失語というものがあり、失語症になると手話にも障害が生じコミュニケーションが取れなくなる。手の行為と言語行為は共通点が多いように思う。

ある学会で印象に残っている言葉がある。

 

一方の手と他方の手

一方の手が機能するために他方の手が行為を行う

一方の手が行為を行うその間に他方の手も行為を行う

片手だとできないものも両手で行うとできることもある

左手が空間を作り境界を定めてくれる

そうすることでより身近な空間になる

 

例えば、文字を書くとき、左手で紙を抑えることで紙が安定する。それは、これから行う書くという行為を安定して行える領域を作り出すことで、右手の行為(書く)がスムーズにいく。行為を行っているのは右手でありどうしても右手の行為に注目しがちだが、その右手の行為をスムーズに行うためには左手による空間作りが必要なのである。

言葉も同じことが言えるのではないかと思う。左脳に言語野が存在しているため、左脳の動きだけに注目しがちだが、その言語を操るためには右脳の空間把握が必要である。以前ブログでも書いたように言語は空間の一部である。言語を適切に扱うためには自分の扱える言語空間を定めて安定させなければならない。