失語症学の発展に向けて

言語聴覚士に役立つ書籍や考え方を紹介していきます

失語症 治療へのアプローチ 著 Anna Basso

 

失語症のタイプ分類は、ブローカ失語、ウェルニッケ失語、伝導失語などいわゆるBoston学派を中心とした古典分類が有名です。この分類方法は、発話の流暢性、復唱、聴理解の3項目で構成されています。
失語症に関する論文や学会発表でも古典分類で示されていることが多く、失語症に関する共通言語として、言語聴覚士同士や他職種と情報を共有する際に有効です。

 

しかし、失語症研究の歴史を紐解くとそれ以外の考え方が多く存在します。古典分類は西欧諸国で発達した考え方で、脳のある部分が障害されると特定の症状が出ると言う局在論です。一方、東欧諸国で発達したのが全体論で、言語は脳全体の処理の結果だという考え方です。その中間に位置するものとしてLuria学派が存在し、大きく分けるとその3つに分類できます。

 

本書は、それぞれの考え方に対して説明されています。ここでは3つ示しましたが、実際にはもっと多くの分類方法があり、失語症について様々な考え方に触れることができます。失語症の違う側面に触れることで視野が広がるのではないか思います。