失語症学の発展に向けて

言語聴覚士に役立つ書籍や考え方を紹介していきます

言語聴覚士の専門領域は?

言語聴覚士(ST)は、主に嚥下障害、高次脳機能障害失語症、構音障害に対してリハビリをすることが多く、その中で現在STが最も関わっているものは嚥下障害です。
もし、上記に挙げた全ての障害を持った患者がいた場合、最初に取り組むのは嚥下障害だと思います。


その理由は、嚥下障害があると食事を取ることができないし、誤嚥性肺炎になるリスクなど命に関わる障害であるからです。
しかし、嚥下障害に対してアプローチしているのは、STだけではありません。
日本摂食嚥下リハビリテーション学会の会員は、STだけでなく、看護師、医師、歯科医師理学療法士作業療法士、管理栄養士、歯科衛生士など多岐にわたっています。
また、診療報酬の摂食機能療法は「医師又は歯科医師の指示の下に言語聴覚士、看護師、准看護師、歯科衛生士、理学療法士又は作業療法士が1回につき30分以上訓練指導を行った場合に限り算定する」とあり、必ずしも嚥下訓練はSTだけが行うものではありません。では、STのアイデンティティはどこにあるのでしょうか。

 

私は、失語症、構音障害にあると思っています。
失語症以外の高次脳機能障害は、作業療法士が関わることも多く、STだけで取り組む障害ではありません。一方、失語症、構音障害は、コミュニケーションに関わるものでありSTの専門領域です。
言語聴覚士という「言語」に携わる専門家として、もっと言語を追求していきたいです。